日本国有鉄道労働運動史【鉄労視点】

日本国有鉄道労働運動史、鉄労視点で綴るblogです

新潟闘争とはどのような闘争だったのか 第四話

本日も、鉄労友愛会議の「国鉄民主化への道」を参考に、国鉄の労政と労働運動(下) 有賀宗吉を参考に、新潟闘争について迫ってみたいと思います。

 

新潟闘争のきっかけは2名の解雇者

新潟闘争の発端は、四月春闘の処分撤回闘争による2名の解雇者でした。
このような処分撤回闘争で、解雇者が出たことは初めてのケースであり、これがきっかけとなり大争議に発展することになりました。

当局側も、組合側も、この処分がその後大きな問題になるとは夢にも思っていなかったと言われています。

新潟鉄道管理局長の河村勝は、二人の処分は寛大なものであったと言う認識であったと発言しており、また新潟地本にしても二人の処分程度であれば、撤回は容易であろうと考えていた節があったと言われています。

その辺りを、国鉄の労政と労働運動(下)から引用してみたいと思います。

国労の職場指令大会指令は三段組で、新潟の二人免職は一段組で報道されていたが、一段組で報道された解雇が大闘争の発端になるとは、誰も予想しなかったであろう。

新鉄局長(新潟鉄道管理局長)の河村勝は後になって、

「二人の処分は寛大なつもりだった、組合これで手を焼いている抗議闘争を収拾するだろう。たいした闘争にはならないと思った。」

と言うような意味のことをいっていたし、「中央公論」の兼松論文でも、

「河村局長がこの二人の処分だけで闘争が収拾できるものとみた判断は甘かったが、組合側もたかが二人くらいの処分撤回なら新潟地本の力だけでも解決できると考えていたようである」

 と書かれているように、双方とも、処分を発令した時点ではここまで大きくなるとは夢にも思っていなかったということだけは間違いなさそうです。

労使双方ともこれほど大きな問題に発展するとは想定外

さらに、処分が中央一括ではなく支社制の導入の関係もあるかと思いますが、処分単位を管理局単位に降ろしていましたので、独自に管理局長の判断でこうした処分が行われたということになります。

組合員2名の解雇で十分お灸を据えてやったと感じる当局と、この程度の処分撤回は地本で対応可能と考えた、新潟地本といえましょう。

越後滝谷駅長は、代務車掌として宮内駅から列車に乗務しようとして軟禁

なお、懲戒理由は前回も書きましたが、越後滝谷駅長を代務車掌として乗務を阻止して軟禁状態にしたことからでした。

詳細が書かれていましたので、再び国鉄の労政と労働運動(下)から再び引用したいと思います。

二人を懲戒免職にした原因について、当局側の記録によると、

「他越後滝谷駅長中島忠蔵が、六月一三日の車掌区関係の闘争で、代務車掌として乗務を命ぜられ、乗務しようとしたところ佐藤昭二、中村満夫に、宮内駅のポイントに軟禁された。これが二名の免職の直接の原因になった」

 とされていますが、実際には中島駅長の手記があり、これによると闘争前日の6月12日12時30分頃、当駅駅員で新潟地本闘争委員の佐藤昭二氏から、車掌乗務の助勤を中止してほしい旨申し入れが有ったそうです。これに対し、中島駅長は業務命令であるとして、佐藤駅員の要請を拒否、当日(13日)は長岡車掌区乗務として助勤として、宮内駅から672列車乗務指示で、長岡駅から710列車に便乗し、宮内駅に向かったそうです、下車と同時に、約30人のピケ隊に包囲され、その中のには佐藤昭二氏ほか10名ほどに強制的に連行され、同駅北部転轍小屋に2時30分頃まで、軟禁されたそうです。

補足させていただくと、便乗した710列車は、新潟22:30発、上野行きの準急夜行列車で、長岡駅には0:08発、宮内駅0:14発となっています。

なお、672列車は、富山発大宮操行きの貨物列車で具体的な時刻まではわかりませんでしたが、1:00頃の発車でなかったかと思われます。

旅客列車の時刻に関しては、時刻表昭和32年3月号で確認しています。

中島駅長が代務車掌として便乗したとされる710列車

昭和32年3月時刻表から

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