日本国有鉄道労働運動史【鉄労視点】

日本国有鉄道労働運動史、鉄労視点で綴るblogです

国労内で民同右派による分裂運動(新潟闘争前) Ⅱ

4ヶ月近く放置状態になってしまいまして申し訳ございません。

再び、国鉄民主化の道からお話を進めさせていただこうと思います。

新潟闘争前の松山大会

国労内における派閥闘争は大きくなり、新潟闘争前に松山で開催された定期大会では派閥争いが激化していたと言われています。

その背景には、跳ねっ返りの強すぎる地本と指令返上した地本などの扱いにおいて右派(新生民同派)が強いからとか、革同・共産党が原因だと言った議論が百出したとされており、本来であれば派閥と言う問題を昇華して行くべきなのですが、解消どころか派閥闘争というもう一つの組合内闘争が露顕したのでした。

その背景には、先ほど書きましたように。

本部の指令を黙殺もしくは返上した大阪地本など指令返上したいわゆる新生民同派が強いグループが指示したのだとか、広島や新潟などのように革同や共産党が拡張戦略をとったからと言う発言が根底にあったようです。

民同左派にしてみれば、民同右派と呼ばれるグループも革同もどちらも扱いにくいと言う点では同じであったのでしょう。

こうした議論も出た中で、最終的には規約の改正により副委員長ポストを一つ増やすこととなり、最終的には新執行部は、引き続き民同左派が押さえるものの。新生民同派が2人増えて。革同派が一人減るという事で決定しました。

国労執行部派閥別構成人数

国労執行部派閥別構成人数

組合分裂を意識した新生民同派

新生民同派(いわゆる右派)の中には、解雇された職員が組合専従で業務に就くことに強い違和感を持っており、新生民同派の代議員の一人は組合分裂を意識して趣意書を関係者に配布したとされています。

その人の名前は、菅原栄悦という方で、「非現業関係組合結成準備の趣意書」と呼ばれる印刷物を配布したそうです。

その辺の経緯を、国鉄民主化への道 P257から引用してみたいと思います。

新生民同右派の菅原栄悦は、この大会で、組合分裂を意識し、「非現業関係組合結成時準備の趣意書」という印刷物を密かに関係者に配った。

 

 私たちは管理局を中心とする非現業関係の組合員の労働条件の維持改善を図る推進機関として、総務経理協議会があり、組合本部の諮問に応ずるばかりでなく、直接問題解決にあたってきたのでありますが、国鉄労働組合が単一組織になった以前を含めて、私たちの要望事項は今日まで殆ど何一つ解決していないのであります。

 (中略)何れにしても、現在の組合の中にあっては、非現業関係及び直轄職場を含めての問題解決は望み無しと判断し、ここに管理部門を一丸とする新組合を結成し、問題解決に邁進することに決定したのである。

と有りますように、国労における非現業の問題が全く解消されていないという不満が述べられているわけですが。

この辺は、私が郵政局に勤務していた頃もあまり変わりませんでした。苦笑

郵便局とは異なる問題は多々あるのですが、組合という名前のサークルに入っているようなもので。特に私の場合は全逓荷所属していましたので、それで無くとも少数派の組合だけに肩身が狭かったのはよく覚えています。

私の思い出話はどうでも良いのですが、ここにきて新生民同派は、まず非現業部門で組合の分裂をはかるわけですが、同じように新潟闘争が同時期に勃発したことから、新潟の国労組合員も地方組合を結成することとなりこれがやがて、鉄労(当初は新国労)に収束して行くわけですが、改めてこうして時系列で追いかけて見える事の重要性を感じています。

国鉄当局は団交拒否を通告

国労・機労共に解雇者を三役に据えたことで、国鉄当局は国労・機労に対して「組合は合法的な代表者を欠いているとして団体交渉は行わない旨通告」して組合との対立姿勢を7月9日に示すのですが、奇しくも同日新潟闘争が始まるのでした。

 

続く

 

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