新潟闘争とはどのような闘争だったのか 第五話
越後滝谷駅長を監禁したのは当局がマークしていた人物だった
今回の処分撤回闘争で解雇になったのは、新潟鉄道管理局工事課勤務、元国労地本委員長中村光夫氏、国労地方執行委員佐藤昭二氏の2名でした、このうち中村氏は、昭和28年(4年前)の年末闘争で解雇する予定だったのですが、当時の中村氏はソ連に訪問しており、処分が出来なかったと言われています。
その中村氏が今回の監禁事件の実行者として参加しているので、当局としても解雇の口実が出来たわけです。
当局としては、軽い処分であったと考えていた
国鉄当局としては、解雇者は前述の通り、昭和32年7月8日、元国労新潟地本委員長の中村氏と、国労地本執行委員佐藤氏の2名を解雇したが、実際には、他の地区でも数々の違法行為が行われており、旅客・貨物併せて運休だけで90本と言う膨大なものでした。職員自らの反省を踏まえて、今回の処分は2名だけの解雇にとどめたという談話を発表しています。
国鉄の労政と労働運動 下巻 有賀宗吉 著から当該部分を引用してみようと思います。
「・・・・このほか、同日(6月13日)には長岡、直江津、新津、西吉田問うの各地区においても数々の違法行為が行われ、このため管内におけるる旅客、貨物列車の運休90本という、かつて見ない輸送の大混乱が起こったのでありますが、私は、職員諸君が今後反省を重ね、労働運動の正常化に努力されることを強く期待して、一応保有することといたしました・・・」
と記述されています。
このように、新潟管理局としてみれば、寛大な措置をしたと考えていたのですが、これに対し、国労は直ちに、闘争指令第42号を発令し、免職撤回闘争の指示を出します。
当局が処分を地方局に委ねたことから、国労本部も地本に委任した形を取ったもので、7月10日、11日に各支部1カ所ずつで職場を指定して3時間の職場大会を行うものとされていたのですが、新潟地本ではゲリラ闘争並びに強力な順法闘争などで、新潟地区の列車ダイヤは乱れ、貨物列車の多くが運休、遅延が拡大し。各所で鉄道公安と衝突となり、農民代表から抗議を受ける等の問題となりました。
この時点でも、国労本部としても二人くらいなら簡単に撤回できると考えていたようです。
国労新潟地本の戦略とはどんなものだったのか?
ここで、最初に話に戻るのですが、国労新潟地本は、新潟駅を中心に順法闘争に入り、10,11日の両日は、本部の指令通り各支部で1カ所3時間の職場大会を開催することになっていましたが、組合はここでゲリラ戦術を実施しました。
A駅で闘争を行うと指定しておきながら、実際にはB駅などノーマークの駅で闘争するなどの方法で、新潟闘争が最初にこの戦法が実施されたと言われています。
実際に、人数の少ない中間駅で駅員を連れ出して職場大会を行うと言ったものでした。
主要駅での職場大会のために駅長や助役が助勤に動員され、留守となった中間の小駅に、夜間に活動家が現れ、当務駅長(いわゆる夜間責任者)で組合員の場合はそこで職場大会を開いたり、当務駅長が非組合員である場合は、業務の妨害【単線区間などでは当時は信号扱いを行うのは駅で行っていた】として、いわゆるダブレットの操作を妨害して列車の運行を阻害したのでした。
他にも、移動職場大会や、機動職場大会などをゲリラ戦術で実施
- 移動職場大会と呼ばれる戦術
中間駅を3つか4つ回って組合員を連れ去り、バスの中で闘争の経過報告などを行い、時間が経ったら、また就業させるというもので、闘争が激しくなってくると、そのまま旅館に収容して職場に戻さなかったらしいです。 - 機動職場大会
活動家が列車に乗り込み、駅に着くと駅員などを集めて報告会を開いて、列車扱い等の作業するのを妨害するもので、20分程度で解散するものの、次の停車駅でも同じ事をするので、どんどんダイヤが乱れてゆくことになる。 - 車掌を乗せない戦術
活動家が貨物列車に乗り込み、駅に到着ずると、駅長に「ここで車掌を降ろす」と通告して押し問答を行う。組合としては本気で車掌を降ろすわけではなく、最後は「駅長の顔を立ててやめると言うのだが、目的は列車ダイヤの混乱で有り、同じ事を別の駅でも行うと言ったことが行われました。
実際に、急行などで車掌をあらかじめ指定された駅で降ろしてそのまま連れ去ると言ったこともあったようです。
この場合でも、車掌がいないと列車を動かせないので、ダイヤは乱れることになります。
他にも、1日だけでしたが弥彦線では当時、有人の踏切が10カ所【保線区所属7,駅所属3】有ったのですが、組合の指令で職場放棄して職場大会を開催したため、保線区の助役等が助勤に着くまでの間、駅助役が列車に乗り込み、踏切手前で停止して、誘導するという非効率な作業が強いられました。
続く
瀬野八の補機EF59
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