日本国有鉄道労働運動史【鉄労視点】

日本国有鉄道労働運動史、鉄労視点で綴るblogです

社会統一と保守合同(番外編)

55年体制始まる

昭和30年(1955)は、政治にとって非常の興味深い年でもありました。

左派と右派で分裂の危機にあった、日本社会党保が再統一を図り、ともに保守政党である、自由党民主党が合同して、現在の自由民主党が誕生することとなりました。

これにより、保守党である、自由民主党は、憲法改正発議のギリギリの2/3弱を維持し、社会党が残り1/3(他に日本共産党、無所属など)による保守合同が実現した年でも有りました。

この体制は、「一と二分の一政党制」とも呼ばれたそうで、政権党である自民党憲法改正発議をするのは定数が足らず、社会党も1/3のため、政権を獲得することは出来ない万年野党という体制が固まったと言えるもので、政治的には安定するものの、こうした体制が長く続いたことが。現在における政治家の質の低下に繋がっているといえましょう。

日本社会党統一大会宣誓書

日本社会党統一大会宣誓書

引用 〔日本社会党統一大会宣誓書〕 - 国立国会図書館デジタルコレクション

 

自由民主党結成大会

自由民主党結成大会

画像 wikipedia 保守合同 - Wikipedia

 

日本社会党は、神田の共立講堂で10月13日に統一大会が開かれ、自由民主党は、遅れること約1ヶ月11月15日に東京神田の中央大学講堂で結党大会が開かれたそうです。

尚、これに先立ち日本社会党は、10月12日に解党大会をそれぞれ右派と左派で別々に開催しています。

こうして誕生した、55年体制は、自由民主党は万年与党としての地位を獲得する代わりに憲法改正の発議を行えず、社会党にしても万年野党となるものの、改憲を阻止できる抑止力なり、双方の思惑が一致したと言えます。

社会党保守合同の意義

社会党が分裂した背景には、サンフランシスコ講和条約を巡って全面講和を支持する左派社会党と、一部講和を認める右派との間で大きく意見が分かれたことが一番の原因でした。

元々社会党左派は、非共産党系の労農派マルクス主義を標榜する政治路線を目指したグループが中心で有り、共産党とは距離を置きつつ、社会主義社会を目指すとしていたのに対し、社会党右派は、議会制度の枠組みの中で、「富の再分配」による平等を目指す社会主義であり、社会党と名乗るもののより正確には中道と呼べるもので、社会主義革命などを一切指向していないという点が異なっていました。

社会党が合同を果たした理由は、米ソ冷戦による緊張の中で、全面講和を主張し、その後も『護憲と反安保』を掲げ米軍への基地提供や再軍備に対する反対運動を推進する社会党左派は、戦争の記憶が生々しい中にあっては、その存在意義を高めていくこととなりました。

その反面、議会制度の枠組みの中で、「富の再分配」による平等を目指すという、理想を目指す社会党右派は、議席の確保に苦労しており、保守政党が分裂(当時は前述の通り、自由党民主党に分裂していたことから、社会党が再統一することで政権を奪取できるという思惑が働いたからでした。

こうした実情に対して、財界からの要望や、社会党が統一したことを受けて自由党民主党が合同し、自由民主党が誕生することとなりました。

最後に、自由民主党のホームページ「自由民主党結成」の部分から引用させていただきます。

環境の中で、国民も政治家も、実に多くのことを体験し、学びました。そして、やがてその貴重な体験と反省の中から、わが国が真に議会制民主政治を確立して、政局を安定させ、経済の飛躍的発展と福祉国家の建設をはかるためには、自由民主主義勢力が大同団結し、一方、社会党も一本となって現実的な社会党に脱皮し、二大政党による健全な議会政治の発展をはかる以外にない、という強い要望が国民の間にも、政治家の間にも芽生えてきたのでした。

このような国民世論の強い要望と、自由民主主義政党内部での反省も加わって、「保守合同」への動きは、二十八年ごろから活発化したのですが、二十九年十一月の改進党と日本自由党の合同による「日本民主党」の結成を経て、三十年五月の民主・自由両党幹部会談、同年六月の鳩山民主・緒方自由両党総裁の党首会談から、本格的な自由民主勢力の合同への動きが始まったのです。

とくに、この鳩山・緒方会談は、「保守勢力を結集し、政局を安定させる」ことで意見の一致をみた歴史的な会談でした。

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